FRAGMENTS

COMPUTER GRAPHICS
ESCAPE

Production details

CGを使ったアートワークとして「ESCAPE」というムービーを制作しました。以前から4足歩行の動物を作ってみたいと思っており、今回HP用のサンプルとして制作することにしました。単純な動物を作っても面白くないので、どのような映像にするか世界観を考え、「未来の荒廃した惑星を舞台に機械化された狼が、希望を求めて荒野を彷徨う」という設定で作りこんでいきました。かなりディティールにもこだわったことにより、制作時間はかかりましたが、当初思い描いていた世界観を作ることができたのではないかと思っています。

First step

未来の荒廃した惑星や、機械化された狼を制作するにあたって、まずはリファレンス収集からはじめました。 4足歩行の動物に今回初めてチャレンジしたため、YOUTUBEであらゆる狼の映像を見て動きや体の作りなどを研究していきました。特に着目したのが狼の足運びのタイミングと、足がどこから曲がるかなど関節の部分です。体の構造については徹底的に研究していきました。映像では特に2カット目の足運びに注目してください! 

Process

狼のモデリングは狼の体の流れや筋肉ににそってKitBashモデリングを行いました。モデリングに関しては、狼ならではの特徴にそったモデリングをしないと別の四足歩行の動物に見えてしまうので、ここでも狼のリファレンスをしっかり確認しながら作業していきました。RigはMAYAのmGearを使用しています。

コンポジット作業はNUKEで行いました。NUKEの中でカメラなどシーンのセットアップができるためMAYAとの行き来を最小限にし、制作の後半でもカメラワークの変更に対応できるようにしました。今回、NUKEでのコンポジットを行ってみて、NUKEとDMP(デジタルマットペインティング)の相性が良いと感じたので、今後、大規模なエンバイロメント制作で表現の幅を広げていけると感じました。

レンダリングは全てRedshiftを使用しています。今回、初めてGPUレンダリングを使用しましたがVrayと遜色ない結果が得られ、さらに各段にレンダリング時間を短縮することができ、試行錯誤の回数を格段に上げることができました。その結果、作品のクオリティもかなり向上させることがでたと思います。またPhoenix FDで制作した煙などのエフェクトのレンダリングもスムーズに行うことができました。

布と揺れのアニメーションはマーベラスデザイナーを使用して制作しました。機械化された狼に布を巻いていく作業が思いのほか難しく、いろんな巻き方を試しました。当初は顔にも布を巻いていましたが、ビジュアル的に、あまりうまくいかなかったため、最終的には体に巻きつけるように布を制作しました。また、布の汚しや先端のボロボロ感などにこだわっています。

狼のボディが機械のため、狼の動物としてのしなやかさが出しずらいので、風にたなびく布を加えることで、しなやかな体の動きを補強する効果が出たと思います。また荒廃した世界観にもマッチする演出になりました。

Final image

ディティールを何度もやり直して、ようやく映像の完成!今回初めてこのような世界観の映像を制作し、かなり時間がかかってしまいましたが、多くの学びがあり、次はもっと効率よく制作できると思います。普段は2足歩行のキャラクターのアニメーションを行うことは多いですが、4足歩行のキャラクターを制作することで、制作の幅が広がったと思います!映像としても未来の荒廃した狼の哀愁を表現できたのではないでしょうか。短い映像ですが、是非ご覧下さい!